膝の痛み 5タイプ別 — まずあなたの膝がどれに近いか
「膝の痛み」とひとくちに言っても、その背景には関節軟骨・半月板・腱・筋・成長軟骨など、さまざまな組織の問題が関与します。痛む部位(内側・外側・前面・膝裏)、痛むタイミング(歩き始め・階段・運動中・夜間)、年代やスポーツ歴によって、想定される状態は大きく異なります。代表的な5タイプをご紹介します。
代表的な5タイプ
関節軟骨のすり減り・骨棘形成・滑膜炎などを伴う慢性疾患で、50代以降に多く見られます。日本では推定患者数約2,500万人、有症状者約1,000万人と報告されています(吉村2009 ROADスタディ)。膝の内側に痛みが出る内側型が最多で、O脚・加齢・体重・大腿四頭筋の機能低下が背景に絡みます。
関節軟骨のすり減りを伴う慢性疾患で50代以降に多く、内側型が最多。O脚・体重・大腿四頭筋の機能低下が背景にあります。
特徴: 階段昇降痛 / 朝のこわばり / 内側痛 / 50代〜
膝のクッション役である半月板の損傷。若年者ではスポーツ外傷(切り返し・ジャンプ着地)、中高年では加齢性の水平断裂・変性断裂が多く見られます。膝の引っかかり感(キャッチング)、屈伸時の痛み、ロッキング(膝が引っかかって伸びない)が特徴的です。
膝のクッション役である半月板の損傷。引っかかり感・屈伸時の痛み・ロッキング(伸びない)が特徴的です。
特徴: 引っかかり / 屈伸時痛 / 膝の水 / 全年代
腸脛靭帯炎(ランナー膝/膝の外側痛)、膝蓋腱炎(ジャンパー膝/お皿の下の痛み)など、走る・跳ぶ動作の繰り返しで生じる障害群です。フォーム・練習量・シューズ・体幹/股関節のコンディションが関与し、市民ランナーや部活動アスリートに多く見られます。
走る・跳ぶ動作の繰り返しで生じる障害。フォーム・練習量・シューズ・体幹/股関節の状態が関与します。
特徴: 運動中・運動後痛 / 外側または前面 / アスリート
膝の内側、すねの上のあたりにある鵞足部(縫工筋・薄筋・半腱様筋の付着部)に炎症が起こる障害。ランナー・ウォーキング愛好家・X脚傾向の女性などに多く、膝の内側下方を押すと痛む、運動後にズキズキ痛むのが典型的です。変形性膝関節症と痛む部位が似ているため混同されやすいタイプです。
膝の内側下方の鵞足部に炎症が起こる障害。押すと痛む・運動後にズキズキ痛むのが典型で、変形性膝関節症と混同されやすいです。
特徴: 内側下方痛 / 運動後悪化 / 押すと痛い
小学校高学年〜中学生の成長期に多い、お皿の下(脛骨粗面)が出っぱって痛む骨端症。サッカー・バスケ・バレー・陸上など走る・跳ぶ・蹴るスポーツに励む時期と、身長が急激に伸びる時期が重なって起こります。「成長痛だから仕方ない」とされがちですが、適切な対応で続けながら付き合えるケースが多くあります。
成長期に多い、お皿の下が出っぱって痛む骨端症。スポーツに励む時期と身長が急に伸びる時期が重なって起こります。
特徴: お皿の下の出っぱり / 中学生前後 / 部活
変形性膝関節症の進行ステージ
5タイプの中でも50代以降で最も相談の多い変形性膝関節症は、軟骨の摩耗が段階的に進行することが知られています(Kellgren-Lawrence分類)。ステージごとに症状や対応方針が変わるため、現在どの段階にあるかを医療機関の画像検査で確認することが重要です。
セルフチェック(あくまで目安です)
あなたの膝がどのタイプに近いか、観察ポイント
- 痛む部位: 内側 → 変形性/鵞足炎 / 外側 → ランナー膝 / お皿の下 → ジャンパー膝/オスグッド / 引っかかり感 → 半月板
- 痛むタイミング: 朝の歩き始め・階段 → 変形性 / 屈伸時の痛み → 半月板 / 運動中・運動後 → オーバーユース系
- 年代: 50代以降 → 変形性が候補 / 中学生 → オスグッド / 30〜50代ランナー → ランナー膝/鵞足炎
- 外傷歴: 切り返し・ひねりで急に痛めた → 半月板/靭帯損傷 / じわじわ出てきた → 変形性/オーバーユース
- 水溜まり: 繰り返し溜まる → 変形性/半月板/関節リウマチ等の可能性
※ 上記は一般的な傾向であり、診断ではありません。複数タイプが混在することもあります。確定診断は医療機関での画像検査(レントゲン・MRI)が必要です。
・Yoshimura N, et al. "Prevalence of knee osteoarthritis, lumbar spondylosis, and osteoporosis in Japanese men and women: the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study." J Bone Miner Metab. 2009;27(5):620-628. (ROADスタディ:日本の変形性膝関節症有病率)
・厚生労働省 統合医療情報発信サイト「eJIM」https://www.ejim.mhlw.go.jp/





