頭痛のタイプ別 — まずはあなたの頭痛がどれに近いか
頭痛は、原因が他疾患によらない「一次性頭痛」と、脳血管疾患などの基礎疾患による「二次性頭痛」に大別されます。日常的に繰り返される頭痛の多くは一次性頭痛で、その中でも代表的なのが下記の4タイプです。タイプによって背景にある状態が異なるため、対応の方向性も変わってきます。
代表的な4タイプ
頭全体や後頭部が「締めつけられる」「重い」と感じる頭痛。多くはじわじわと出現し、数時間〜数日続きます。デスクワーク・スマホ・育児姿勢などで首肩の筋緊張が持続している方に多くみられます。一次性頭痛のなかで最も頻度が高いとされます。
頭全体や後頭部が「締めつけられる」「重い」と感じる頭痛。首肩の筋緊張が持続している方に多くみられます。
特徴: 締めつけ感 / 後頭部〜首 / 動いても悪化しにくい
こめかみや片側の頭部がズキンズキンと拍動するように痛みます。吐き気・光や音への過敏・においへの不快感を伴い、動くと悪化するのが典型です。発作の前にギザギザした光が見える「閃輝暗点(せんきあんてん)」を経験する方もいらっしゃいます。
こめかみが拍動するように痛むタイプ。吐き気・光や音への過敏を伴い、動くと悪化するのが典型です。
特徴: 拍動性 / 片側性 / 嘔気 / 光音過敏
気圧の低下や急変に伴って起こる頭痛。低気圧の前日・台風接近時・梅雨期に増えるのが特徴です。内耳の気圧センサーが自律神経に影響を与え、もともとある片頭痛・緊張型頭痛が誘発・増悪されるメカニズムが想定されています。「天気予報を見れば頭痛が分かる」という方も少なくありません。
気圧の低下や急変に伴って起こる頭痛。内耳の気圧センサーが自律神経に影響し、もともとある頭痛が誘発されると考えられています。
特徴: 気圧低下と連動 / 自律神経の揺さぶり
3タイプの詳細解説 — 整骨院・鍼灸でできること、向き不向き
A) 緊張型頭痛 — 整骨院・鍼灸が比較的アプローチしやすいタイプ
緊張型頭痛は、長時間のデスクワーク・スマホ姿勢・育児・運転などで 首肩〜後頭部の筋肉が持続的に緊張し、頭部全体や後頭部の痛みとして現れます。後頭下筋群・僧帽筋上部・胸鎖乳突筋などの筋緊張が、大後頭神経の刺激や血流低下を介して頭痛を引き起こすメカニズムが想定されています。
当院では、触診で硬結(筋のしこり)の位置を確認し、鍼灸と手技で深層筋にアプローチします。同時に、姿勢・呼吸・寝具など生活習慣の見直しもご提案します。「肩こりがひどい日に頭痛が出る」「同じ姿勢を続けた夕方に出る」タイプの方は、当院のケア対象として比較的相性が良いです。
B) 片頭痛 — 神経内科の診断を優先・鍼治療は予防選択肢として研究蓄積あり
片頭痛は、三叉神経血管系の異常興奮・脳血管の拡張・炎症性物質の放出など 脳神経領域のメカニズムが関与する頭痛です。発作期には薬物療法(トリプタン製剤等)が第一選択となるため、まず 神経内科・頭痛外来での診断と治療方針の確定をお願いしています。
🟡 重要な注意点 — 緊張型頭痛と片頭痛は誤分類が多い
症状が重なる部分があり、「軽度の片頭痛が緊張型頭痛と判定される」「両者の混合型」といった誤分類が30〜50%程度あると報告されています(Schwedt 2014 ほか)。「薬を飲んでも効きにくい緊張型頭痛」「肩こりケアで改善しない頭痛」の方は、片頭痛の可能性も含めて頭痛外来でのご相談をお勧めします。正確な診断が、適切なケア選択の第一歩です。
鍼治療の位置づけ — エビデンスのある予防選択肢の一つ
片頭痛の発作頻度予防に対する鍼治療は、Cochrane Review 2016(22試験 4,985人のメタ分析)において「薬物予防療法と同等の頻度低減効果」が報告されています(エビデンスレベル: moderate / GRADE B 相当)。英国 NICE ガイドライン(National Institute for Health and Care Excellence)でも、片頭痛予防として 「12週間で最大10回の鍼治療」を選択肢の一つとして推奨しています。
当院では 「薬物治療を続けながら、発作頻度を減らす目的で鍼治療を併用する」という形で、主治医の方針を尊重しながらケアを進めます。首肩の慢性緊張が片頭痛のトリガーになっているケースでは、徒手療法と鍼を組み合わせて誘発因子の軽減を図ります。薬の中断・置き換えは絶対に推奨しません。あくまで主治医による薬物治療を主軸としたうえでの補完選択肢としてご検討ください。
・Schwedt TJ. Chronic migraine. BMJ 2014;348:g1416.
・NICE Clinical Guideline CG150「Headaches in over 12s: diagnosis and management」(英国国立医療技術評価機構)
C) 天気頭痛(気象病) — 自律神経の揺らぎへのアプローチが鍵
天気頭痛は、気圧の変化を内耳の前庭器官が感知し、自律神経のバランスが乱れることで誘発されると考えられています。もともと片頭痛や緊張型頭痛をお持ちの方が、低気圧・台風・梅雨期に増悪するパターンが典型です。「天気予報を見れば頭痛が分かる」「数日前から重だるい」といったお声をよくいただきます。
当院では、自律神経の調整に着目した鍼灸ケア(背中・首・耳周辺の筋緊張や血流に関係する部位へのアプローチ)を中心に、内耳血流・呼吸・睡眠リズムの整え方をご提案します。気圧変化そのものは止められませんが、「気圧が下がる前から備える生活ケア」を一緒に組み立てていく形です。
頸椎由来頭痛のメカニズム — 首肩のこりが頭痛の引き金に
緊張型頭痛や慢性的な頭痛の背景には、後頭下筋群の緊張による大後頭神経の刺激が関与していると考えられています(頸椎由来頭痛・cervicogenic headache)。「肩こりがひどくなると頭痛も出る」「後頭部が重く締めつけられる」というパターンは、このメカニズムが関わっているケースが多くあります。
セルフチェック(あくまで目安です)
あなたの頭痛がどのタイプに近いか、観察ポイント
- 痛む場所: 全体・後頭部 → 緊張型 / 片側のこめかみ → 片頭痛が候補
- 痛みの質: 締めつけ・重い → 緊張型 / 拍動性・ズキン → 片頭痛が候補
- 動作との関係: 動いても変わらない → 緊張型 / 動くと悪化 → 片頭痛が候補
- 随伴症状: なし → 緊張型 / 吐き気・光音過敏 → 片頭痛が候補
- 誘因: 同じ姿勢・疲労 → 緊張型 / 気圧変化・寝不足・空腹 → 片頭痛/天気頭痛が候補
※ 上記は一般的な傾向であり、診断ではありません。複数タイプが混在することもあります。確定診断は医療機関での検査が必要です。
・日本神経学会・日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
・厚生労働省 統合医療情報発信サイト「eJIM」https://www.ejim.mhlw.go.jp/




